ヘイヘイホー、へい・ほう・コン(1)

 突然、問題です。√3×√5 の答えは?
 そう、√15。楽勝だよね。じゃあ、聞くけど、

・何で、√3×√5が√15になるの?
・そもそも、√3って、どーゆー数なの?
・平方根って、何なのさ?

 これらの疑問に正しく答えられますか? 3つとも答えられた人で、数学で苦しんでいる人は、おそらくいないでしょう。逆に、数学でつまづいている人は、1つも答えられないハズ。

 考えてもみてよ。「ルートどうしの掛け算は、ルートの中の数字だけで行う」っていう決まりだけを覚えるのなら、小学生でも可能だ。九九を覚えた小学生にこの決まりを説明すれば、
 √3×√5=√15 と、難なく答えを出してしまう。その結果、そのコは「自分は小学生なのに、中3の数学ができた」と「錯覚」してしまう。こんな恐ろしいことはない。

 実は、同じ現象が、中3生でも起こりうるのだ。
「やり方だけをマスターして、わかった(できた)つもりになってしまう」
という現象が。


 前置きはこのくらいにして、しばし、平方根の世界にお付き合いいただきたい。説明にあたっては、ドキュメンタリータッチという、初の手法を試みてみる。

 自然数、整数、分数と、数の世界を拡張し続けた人類は、さらなる新しい数を発見する旅に出た。長く、困難な道のりだった。

 あるとき、一人の男がふと思いついた。2乗する(同じ数を2回掛け合わせる)と別の数になるが、
逆に、「2乗すると何かになる数というものを想定してみよう!」
 平方根誕生の瞬間である。

○ ある数aの平方根とは … 2乗するとaになる数


 男は、色々な数の平方根を考えてみることにした。とりあえず、正の数、それも自然数1からやってみよう。

・1の平方根 … 2乗すると1になる数。

 1×1=1。「1の平方根は1だ」男は思った。ところが、その直後に、別の数が頭をよぎった。「-1」、そう、「マイナス1」の存在である。当時、負の数の存在は知られていたのだ。

 (-1)×(-1)=1。

 「1の平方根は2つある。1つは「1(+1)」、もう1つは「-1」だ。
 何気に考え出した「平方根」。これには、プラスとマイナスの2種類が存在するのだ。このとき、男は、自分の発見が、数という世界を大きく広げていくことになると直感した。

○ 正の数aの平方根(2乗するとaになる数)には、プラスとマイナスの2つがある。

つづく




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